〓 10月のHIPHOPトピック 〓
① 時間をかけて作られたMVが話題になる。
・PUNPEE『タイムマシーンにのって』
・KOJOE 『Day n Nite』
※KOJOEの別曲を後ほど紹介します。
② 18歳以下のラッパーの台頭
・fox4G
・Ij
・太郎忍者(←なんと小学生😮)
・あーちょむ
※ fox4Gとljが客演した曲を後ほど紹介します。
ということで今回は、2018年10月にYouTubeに公開されたオススメの10曲を紹介します。有名・無名問わずセレクトしたので最後までお楽しみ下さい。
※ 歌詞=リリック、サビ=HOOK とHIPHOP用語で表記しています。
※ 本文で、赤字のついたアーティストは、Twitterとリンクしています。
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【Awich/Love Me Up】
(Prod. Chaki Zulu)
「 Roll me up Smoke me up 」
1stアルバム『8』以来の作品集となる2枚のEPを同時リリースしたAwich。
この曲は、Awich史上もっともキャッチなナンバー。パペットを使いEテレへのオマージュ的なMVは、子供も楽しめるスウィートさ。リリックに危うい香りを含ませ、それが刹那のキラメキを引き立たせてる。曲がここまでPOPに振り切れたのは、EPを2枚に分けて色を明確にした成果。マネしたくなるダンスにも注目
甘い香りをダンサブルに加えた『Heart』(左)、狂気のスパイスを効かせた『Beat』(右)
ともに強さと魂の根源的メロディーが流れる。
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【Shurkn Pap/Bout Music】
「音のない世界は暗いトンネル」
姫路のクルー・MaisonDeに所属し、KEIJUと共作するなど下半期の話題をかっさらうShurkn Pap。
厚みあるシンセが幾重にも重なり緊張感を生むトラック。彼の代名詞となりつつあるオートチューンで加工した歌声。それを細かく刻んで粒子のようにし、再び配列してメロディにする。そうすることで聴いたことのない歌の響きを作り出している。
挑戦的な試みを受けいれる土壌が、今のHIPHOPにはある。
『Bout Music』は最新EP『Various 2』の7曲目に収録。
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【焚巻/Life feat.WEEDY】
(Prod. by FReECOol)
「夢ならCRAZY 隣はBABY いつも側に」
TV『フリースタイルダンジョン』での活躍で、ヘッズに一躍名を知らしめたラッパー・焚巻(たくまき)。以前より共作のあったシンガー/ラッパー WEEDY を迎えた曲は、エレピをベースにした極上のJAZZYビーツ。
WEEDYのシルクのように滑らな歌にストリングスが一体となり、純度の高い時間が流れる。そこに焚巻が日常にささやかな希望を見出すラップで畳み掛けると悪いはずがない。ズルいぐらいにオシャレでカッコいい!
⬇︎『Life feat.WEEDY』は11月14日発売のアルバム『ONEDAY ONETIME』の7曲目に収録。
【A-KEY/Re:ForM】
(Prod. by illr)
「俺はここだ 叫ぶぜONCE AGAIN」
兵庫県三田のクルー・M.V.RのメンバーA-KEYの初ソロ作品。
トラックは毎月新曲MVをアップし、DJをしながら即興30分で曲を作ると話題のillr。終始スクラッチが混じるミクスチャーロックには、A-KEYの若さあふれる気合いの入ったラップが映える。
「判るかよ弱さは人間らしさ Re:ForMそれを強く見せるのさ」
この実直さは武器になる。
⬇︎この曲をプロテュースした illr のDJネイム I.LOVE による即興トラックメイク動画
https://twitter.com/RF1993_/status/1056901651288645632
【KOJOE/Salud feat. MUD & FEBB】
(illmore Remix)
「生きるため 誰のため 限りなき答え合わせ」
2018年2月に若くして亡くなったラッパー・FEBBに捧げる曲。
原曲は、KOJOE のアルバム『here』に収録された重いビートの曲。大分を拠点に活動するビートメーカーillmore によるRemixは、得意のストリングスを多用し、流れるようなグルーヴ感を重視した仕上り。ラッパー3人のフローが生える。KOJOEが死について書いているのは偶然か?
「振り返る暇はねえ」
と喪失感を抱えながらも生きることを背中で語る。
Febbの貴重なレコーディング映像。生々しい息遣い。Kojoeとの硬い握手。
才能ある人が逝ってしまったこと悔やまれる。
11月7日発売のillmoreのアルバム『ivy』にKOJOEが客演で参加。
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【NORIKIYO/花火 (Fireworks) 】
(Prod. by Tone Jonez)
「その暗闇にいま打ち上げよう」
中堅ラッパーでありながら1日2時間以上リリックを書き、やらないとラップ筋がにぶると話すNORIKIYO 。
この曲は、打ち上げた花火がHOOKで華やかに弾け開く。自分の弱さと闇を描くことで、花火をキレイと感じる本質に迫る。NORIKIYOでしか書けないであろう観察力と表現力に驚かされる。瞬く間に火が消えてなくなる所まで音で表現し、心に残る。
『花火 (Fireworks) 』は、アルバム『馬鹿と鋏と』の2曲目に収録。
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【ZIPSIES/Still Image Love feat. 呂布カルマ】
(Prod. by ZIPSIES)
「誰かが噛んだ後のガムに味はない」
実力派MC達に100タイトル以上の楽曲を提供するSUMINOFとDJ 純からなるサウンドデザインチーム・ZIPSIES。8年ぶりの新作『Finalize vol.3』より 呂布カルマ を迎えた曲。
呂布カルマはTwitterでライブ告知と共にグラビア画像をツイート。関係ないやん!とツッコミつつ、男性は画像が気になって誰トク!?状態。そんな彼の嗜好を反映し、ロウなフローに放りこむエグい下ネタ。HOOKで鳴る管楽器が派手すぎず、一筋の光のようでリアル。地図が塗りかわる。
『Still Image Love feat. 呂布カルマ』は、アルバム『Finalize vol.3』の7曲目に収録。
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【Marcorosso/BLACK】
(Prod. by GREEN ASSASSIN DOLLAR)
「枯れるなら咲いて イラつかないで」
大阪のラッパー・Marcorosso。「指切りげんまん」「漆黒の中で咲いた赤い花」などイメージが膨らむ言葉選びはリリシストの証。HOOKでの「まけるなら巻いて」と粘り気ある節回しに、リスナーの心も巻かれていく。
『BLACK』は、アルバム『THE SOLAR SYSTEM』の10曲目に収録。
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【DJ JAM & MARZY/Waved feat. fox4G, lj (MaisonDe) 】
(Prod. by DJ JAM)
「chasing to the ski , oh〜」
YENTOWN に所属するDJ JAMと MARZY が17歳の若手ラッパー2人を起用した曲。
MARZYの歌声が素晴らしく、魂を広いソラへと解放してくれる。ファルセット寸前のギリギリの高音が、時代の先端を駆け抜けるイメージ。アニメーション映画『ムタフカズ -MUTAFUKAZ-』の公式イメージソングになっており、この曲用に書き下ろされた映像がスピード感を加速させる。
曲の後半になるにつれて歌が力強くなるのもいい!
⬇︎ DJ JAMのシングル曲。沖縄のラッパー・OZworld を迎え、蛇のようにくねる怪しげなビートが聴ける。
【leni/KIDS ARE ALRIGHT】
(Prod. by KRICK from BLACK BASS)
「夜が嫌いなままで 夜を走り朝まで」
3人組クルーから、映像作家・写真家・デザイナーを含む7人のコレクティブ(個々が独立しつつも必要に応じて集うアート集団)になったBLACK BASS。そこに所属するラッパー・leni のソロ MV。程よい緊張感、甘いマスク、しびれる歌声。物語の断片をつなぎ合わせたようなリリックは、若手のインディー映画を見ているよう。頭で考えるより理屈抜きで空気感にひたれる。
⬇︎BLACK BASSがクルーからコレクティブになった経緯が掲載された貴重なインタビュー
BLACK BASS(左下から時計回り:leni、KRICK、GERA、中村俊介、oTTs)取材後、「写真を撮りましょう…
⬇︎3人組クルーの時のBLACK BASSのシングル曲。BLACK BASSのラッパーはみんな声がいい!
さらに聴きたい人へ
上記の10曲以外に紹介しきれなかったおすすめ65曲のプレイリストを作りました。連続して聴けるので好きな曲と出逢ってください。
現在11月のプレイリストも作っています。タワーレコードで働いていた経験上、11月はヒット曲が生まれやすい月です。
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