今が晩秋と初冬の境目。
京都では、木々が赤や黄にあざやかに染まり見頃を迎えます。
そんな最もディープな秋の夜長にHIPHOPはいかがでしょうか?
前回の【秋の夜長にしみ入る MV 7選】は、キュレーター/作家の佐々木俊尚さんに取り上げてもらうなど、皆さんの協力で多くの方にアクセスしていただきました。
今回はその続編になります。
夜に聴くと心にしみる7曲を選びました。
最後までお楽しみ下さい。
※歌詞=リリック、サビ=HOOK とHIPHOP用語で表記しています。
※ 本文中、赤字のついたアーティスト名は Twitter または Instagram とリンクしています。
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【BIM/BUDDY feat. PUNPEE】
(Prod. by Rascal)
「君はミーハーな上にお喋り また僕は隣で置き去り」
1stアルバム『The Beam』が好評で、2019年にはワンマンライブも決定したラッパー/トラックメイカー BIM 。所属レーベルSUMMITの特攻隊長というPUNPEEを客演に迎えた曲。
“BUDDY=マブダチ”という意味だけあって、幼なじみとの記憶をたどりるリリック。「このままずっと」とBIMが自然体にラップを一方で、HOOKを歌うPUNPEEは、あふれる感情の中にどこか冷めた視線が潜む。MVに登場する3人の関係性が変わりゆくことを予感させる。
⬇︎この曲についてPUNPEEが語ったラジオ書き起こし記事。
レーベルスタッフの手違いでこの曲が生まれたというエピソードが面白い。
『BUDDY feat. PUNPEE』は、アルバム『The Beam 』の3曲目に収録。
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【NF Zessho/I’ll bite U】
(Prod. by NF Zessho)
「いつか誰も屍」
福岡から活動拠点を東京に移した NF Zessho 。2018年4月に3rd Album『CURE』をリリースし、半年も経たずにリリースされた7曲入りEP『R.I.P. NFZ』に収録された曲。
悲しみおびたギターの弾き語りをサンプリング。ロッキンチェアに揺られるようにビートに身を委ねる。死から逆算して生き方を探すリリック。バックボーカルと思われたShiloh Dynastyの歌声が、NF Zesshoとユニゾンすることで生身の歌に変わるマジック。
⬇︎EP『R.I.P. NFZ』の制作にまつわるインタビュー記事
⬇︎『I’ll bite U』はEP『R.I.P. NFZ』の5曲目に収録。
【The Limelightz/One feat.Makilele】
(Prod. by Navel Sci.)
「田舎モンの魂の詩 思い知れ」
2MC(navy、Donnyblock)& 1DJ(1-EIGHTY)からなる岡山のクルー The Limelightz 。
地方たまった鬱屈した気持ちを、魂もろとも吐き出した曲。同郷の女性シンガー Makilele の歌声は、哀しみを哀しみのままブルージーに包み込む。ピアノとシンバルの残響音が、閉じられた商店街のシャッターをゆらす。
まだ無名ながら楽曲のクオリティーの高さに驚かされる。彼らは岡山に根を張り、シーンを盛り上げている。HIPHOPが地方に希望を与える。
【KOJOE/Day n Nite】
( Prod. by SNKBUTNO )
「どうしたらいいか 誰か教えて」
’18年8月に新しいアルバム『2nd Childhood』をリリースした KOJOE 。この曲はそのアルバムからではなく、’17年11月にリリースした前のアルバム『here』からの1曲。
というのもMVの構想は『here』製作時にねられたが、技術的な課題をクリアするのに1年以上かかったから。そして、ようやく完成までこぎつけたという執念の作品である。
誰しもある「もしあの時ああしていれば…」という想いを最新技術で表現。人物がスライドの様に重なっては消えるという見たこともない映像に魅せられる。
「だけど自分を愛せないと誰も愛せない」
後悔してもしきれない悲しみのHOOK。張り裂けそうな胸が、拘束衣でかたく縛られいたたまれなくなる。その姿が唯一、確かな存在として描かれる。
⬇︎「まだ見ぬものを作りたい」 独自のドローン制御システムを開発し、多重合成の映像を作り上げる。この難題に挑んだミュージックビデオが完成しました。 プロ…
そんな思いを世界初のドローン・モーションコントロールで実現させた映像チームのインタビュー。「どうやって撮ったの?」と気になった人はチェック!
『Day n Nite』は、アルバム『here』の16曲目に収録。
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【Teeny Tim/COME BACK】
(Prod. by Summawhere)
「首くくるくらいなら 腹くくる」
Awesome Buddyや、THREE BRASH LINEというクルーに所属し、東京で精力的に活動する若手ラッパー Teeny Tim 。
切なげなメロディと女性Vo.が実に秋らしいトラック。この曲は、音楽に対して「辞めたくなるね 今日すら」と距離をおいてた時期に書かれたものだという。辞めていった仲間のことを思い出し、揺れ動く気持ちを天秤で表現している。
「COME BACK TO ME」は迷っていた自分へのメッセージ。自分の進むべき道を踏みしめるように、言葉を噛みしめるラップに好感が持てる。
⬇︎『COME BACK』は、アルバム『Thousands』の5曲目に収録。
【SEARCHLiGHT 1.5.0 feat. CHILLCAT THE BASTET 】
(prod.JIN FREEKS)
「でも大事なのは 何かね?」
RAU DEFのアルバムにも参加し、川崎でレコーディングスタジオを営む 150 が、シンガー/ラッパー CHILLCAT THE BASTET を客演に迎えた曲。
見知らぬ世界と交信しているような幻想感。サーチライトで心の奥底をのぞいている気分になる。照らされるのは光か闇か?自分自身が問われる。
詩的な世界観にアニメがマッチし、メロディーのキラメキが増して行く。
⬇︎RAU DEFのMVにもこのスタジオでのレコーティングシーンが登場する。
【MIIDA2/蕾 Session Rec】
( music by BomJa Break )
「誰かより上とか 下じゃない」
大阪は服部緑地を拠点に活動するクルーWARAJI 。そこに所属する Jambo Lacquer とPUNCH&MIGHTYのピアノ演奏者 Michel Punch との兄弟ユニット MIIDA2(ミーダツー)。
「いらない物なんか捨てなさい」の言葉通り、電子ピアノとリズムだけの演奏。シンプルゆえ、人を想う優しさが胸に響く。喜納昌吉「花」にも通ずる普遍的なメロディー。
子供達がこの曲に触れたら世界は今よりきっと良くなる。そんな音楽の力を信じたい。語り継いで欲しい歌がここにある。
さらに聴きたい人へ
上記の7曲を含めた“秋の夜長にしみ入いる25曲”のプレイリストを作りました。連続再生しながら好きな曲と出会って下さい。
今後も日本語ラップのプレイリストを作るので、気に入った方はチャンネル登録をお願いします。
11月も続々といい曲がそろってますよ!では✋🏽