ジジジジと蝉が声を上げ
ジリジリと太陽が肌を焼き付ける。
そんな夏が本番を迎えた’19年8月7日、『SAMA SAMA』というタイトルのEPが配信された。これは、人懐こくも切ないメロディが特徴のラッパー LEAP 、まろやかな声で実験的な曲でもラップする RICK NOVA 、10年近いキャリアをもつビートメーカー KUVIZM の3人によるコラボレーション作品だ。
HIPHOPではラッパーを客演に招き、1Verseだけラップしてもらうという構成はよく見られる。しかしこの作品は、コーラスワークに力を入れるなど3人が一体となって制作したことが伺える。そしてラップはもちろんのこと歌を聴かせようという意思が伝わってくる。
清涼感を感じるサマーチューンというより、海外でも話題のシティーポップやAORの影響を感じさせる大人っぽい仕上がりだ。
このコラボレーションはどんな化学反応を起こしたのか。今回はビートメーカーKUVIZMのインタビューを中心に、EP制作の裏側に迫る。
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(EP『SAMA SAMA』 4曲目に収録)
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|KUVIZMインタビュー|
【プロフィール】
術ノ穴のコンピレーションアルバムへの参加や、LOW HIGH WHO?でのアルバム配信。モンスターストライクの公式RemixコンテストでのDÉ DÉ MOUSE 賞受賞。若手ラッパー等へのトラック提供を多数行なっている。
── 今回のEPはタイトルから分かるように夏をテーマにしていますが、いわゆるサマーチューンとは違い大人っぽい夏が描かれています。
まぶしい太陽の下ではしゃぐ夏に加えて、 自分たちなりの夏の解釈を表現したかったというのがベースにあります。
── MVにもなった「ここから先へ」は、生バントで演奏してもいいような曲調です。
手前味噌ですが、バンドセットでのライブを見てみたいです。
── LEAPさん、RICK NOVAさん、そしてKUVIZMさんという組み合わせが意外でした。一緒に作品を作ろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
彼らに対して、曲はもちろん、人間性やファッションを含めラッパーとしてかっこいいと感じたのが主な理由です。 LEAPの作るフックとバースに、RICK NOVAのバースを組み合わせたら、絶対にいい曲ができるという感触もありました。
制作のきっかけは、LEAP x TABTABSのEP「day 2 day」、RICK NOVAのEP「Unknown Paradise」を聴いて、 曲に惚れ込んで、自分から制作の話を持ちかけたことでした。ちなみに、LEAPを知ったきっかけは、ドラム師匠さんのブログです。ありがとうございます。
⬇︎LEAPの曲を紹介した記事はコチラ
'18年12月に公開されたオススメの10曲です。今回、2名のアーティストからコメントをもらいました。音楽家がどんなことを…
── 本当ですか!?お役に立ててめちゃくちゃ嬉しいです!!!取り乱してすいません、話を続けて下さい。
私がLEAP、RICK NOVAそれぞれに連絡したのですが、 2人が元々仲良かったので3人で会おうということになりました。初めて集まったその日に、 LEAPが「夏をテーマにしたEPを3人で作ろう」提案してくれて制作がスタートしました。
── KUVIZMさんは以前、ラッパーとデータのやり取りだけで曲を作ることもあると仰っていました。今回はどのように制作されたのでしょうか?
1ヶ月間、毎週末、3人でスタジオに集まってレコーディングしました。 テーマや、リリック、フロウ、トラックについてその場で話し合いながら進めました。ビートもMC2人を意識してゼロから作っています。なので、バンドの方々がセッションしながら曲作りをするのってこんな感じなのかなと思いました。
── コーラスの入れ方など3人の一体感を感じたのは、その影響かもしれませんね。
制作中ずっと3人で仲良く作れました。2日間続けてスタジオに入る日もあり、合宿みたいで楽しかったです。お互いの長所を活かして、お互いの足りないところを埋め合えたと思っています。
⬇︎3人の充実した様子が伝わる動画
ラッパーのLEAP (@Str_leap) とRICK NOVA (@rick_nova_)、そしてトラックメイカーのKUVIZM (@KUVIZM) が #Spotifyオフィス に来てくれました🕶
本日EP "SAMA SAMA" をリリース🎧
今夏のために作られた楽曲で、彼らと一緒に夏を満喫しよう🏖 👉https://t.co/BOZoZJhWMP#SAMASAMA pic.twitter.com/K6pvsbgHaW— Spotify Japan (@SpotifyJP) August 7, 2019
── ビートメーカーから見て、2人の役割の違いや、どの部分を活かそうと考えましたか?
明確な役割を決めていたわけではありません。私の主観になってしまうのですが、音楽的には、LEAPは抜群のメロディセンスによるフックと、シブい声とフロウによるバース。 RICK NOVAは、メロディとコーラスで織りなす心地のいいバース。というイメージです。
制作進行は、 LEAPがテーマ決めやレコーディングの舵取りなど率先してリードしてくれました。 RICK NOVAはいつも場を和ませてくれるムードメイカーでした。
またLEAPは、「ここから先へ」のMVの脚本を書き、監督のMESSさんとカメラのFoolishさんの人選や、やりとりを含めた全体のプロデュースを担当してくれました。
── KUVIZMさんの個人的なこともお伺いします。2010年にはcubism名義で環ROYさんのRemixをするなど長年活動されています。キャリアの長さから曲調に変化が見られますが、自身ではどんなトラックメーカーだと思いますか?また今、曲作りで意識している事はありますか?
変化させない部分(個性)と、変化していく部分(技術)を両立していきたいです。 自分が好きなものと、その時代のトレンドや、提供先の相手の要望を掛け合わせていい作品を作りたいです。 例えば、共作するラッパーからは常に良い影響をもらえるので、今後もどんどん一緒に作らせていただきたいです。
⬇︎KUVIZMは、レーベル 術ノ穴のコンピレーションAlbum「HELLO!!!」参加している
10年近く前から知ってるKUVIZMが最近勢いよくリリースしてて嬉しい&ちょっと嫉妬◎
【MV】LEAP, RICK NOVA & KUVIZM “ここから先へ” https://t.co/RhByAyS1zX @YouTubeより
— Kussy(ササクレクト/術ノ穴) (@Fragment_kussy) August 10, 2019
── 今後の活動予定を教えて下さい。
年内に、10年来の付き合いのある別の男性ラッパーとのEPの発表を予定しております。 こちらはほぼ曲が揃っている状態で、いい作品になっています。
他にも、何人かのラッパーに渡してあるトラックが30曲ほどあるので、リリースした際は是非聴いていただきたいです。ラッパーや同業者が聴いたときに「このトラック誰が作ったの?」と思われるよう努力していきます。
── ありがとうございました。
⬇︎KUVIZMは、フォロワー4.1万人(’19年8月現在)という注目のシンガー 堂村璃羽 に楽曲提供をしている。
https://twitter.com/Dboy0112/status/1159799618042916864?s=20
EP『SAMA SAMA』
▶︎TRACKLIST
1. Welcome To SAMA SAMA
2. Good Morning
3. masama
4. ここから先へ
|追記|
LEAPさん、RICK NOVAさんに一言コメントをもらいました。併せて読むとさらに深くEP『SAMA SAMA』が好きになります。
LEAP
【プロフィール】
神奈川県厚木市出身のラッパー兼DJ。21〜26歳まで沖縄県に住み音楽活動を行う。その後、地元に戻り、東京を中心に活動中。ちなみにDJネームは“鳥人間“。
── 夏までにEPを完成させる都合上、制作期間が1ヶ月しかなかったと聞きました。時間の制約は、制作にどのように影響したのでしょうか?
正直1ヶ月で4曲のEPを作るって最初いけるかなって思ったんです。けど、いざやってみると凄く時間が足りなかったです。みんなの予定を合わせるのが難しかったので、LINEのグループ通話で打ち合わせをしましたね(笑)
会って間もないキュビさんとも、短期間で凄く距離も縮まったし、ノバとも今まで以上に沢山色々話せたし、本当に濃い1ヶ月でした。制作期間が決まってるからこそ、音楽を今までよりも挑戦的に、良い意味でラフに曲が書けたと思います。
── 「ここから先へ」のMVでは、2人のスーツ姿が印象的ですね。
あの曲は、 制作段階から明確にHIPHOPという枠にとらわれないことを意識していました。 「ここから2人で抜け出してクールダウンしようぜ」がキーワードです。HIPHOPシーンの内でくすぶるのではなく、やりたい音楽を表現していこうぜっていう意味も込められています。
⬇︎人生の転機を歌ったLEAP、TABTABSとのコラボレーションEP『day 2 day』
RICK NOVA
【プロフィール】
’18年10月 EP『Unknown Paradise』
’19年01月 EP『DIRTY CLEAN』
をリリース。
最近では、音楽活動の他にモデルや役者など幅広く活躍しており、多岐に渡って挑戦をし続けている。バナナが大好きな表現者。
── クールで実験的な曲も作るRICK NOVAさんが、「午後の紅茶飲むよ!午前に」や「おもろいことだけを(大阪弁!)」などユーモアあるリリックに驚きました。これは3人で制作したことが影響しているのでしょうか?
完全に制作期間中が楽しくて。夏に向けて作っていたのでテンションが高揚し、自然に出てきたリリック達ですね!
RICK NOVAによる現実とは少し違うクリーミーな質感のエレクトリックHIPHOP『Unknown Paradise』
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