【ドキュメント of 独白Remix 完結編】最優秀作品受賞者ELOQ インタビュー

 

2019年7月15日20時

 

「独白」Remixの最優秀作品が発表される時間

 

愛知県豊川のラッパー DUSTY-I が発表した、40小節ラップし続ける曲「独白」。この曲に、全国ラッパー達が共鳴し反響を呼ぶ。

 

賞金10万円で行われた「独白」Remix企画に、なんと94人がエントリーし、94通りの「独白」が生み出されたのだ。応募期間であった’19年6月のHIPHOPを熱くさせた企画は、クライマックスを迎えようとしていた。

 

この時期、熱心なリスナーは何十曲と「独白Remix」を聴いたであろう。最後まで緊張が途切れることないRemixの数々に、どれが最優秀作品か判断できなかったに違いない。私も気に入った作品が10曲以上あって、正直、どれが1番かという予想すらできなくなっていた。

 

しかし、主催者である3人( Pay a.k.a Wildpit¢h、DUSTY-I、Do-1t. )はそんなことを言ってられない。当然、友人のラッパーも多数エントリーされているはずである。私情を入れず、冷静に、時に残酷に1番を選ばなければいけない。


私の関心は、どんな基準で選考するのかに移っていた。それほどレベルの高い作品が並んでいた。

 

 

⬇︎エントリーされた94曲それぞれに、主催者 Pay a.k.a Wildpit¢h 氏がコメントをつけ、企画時の様子を語ってくれています。

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独白remix 最優秀作品発表

 

秒針が定刻を指す。
Pay a.k.a Wildpit¢hのツイートには、最優秀作品が記されていた。

 

 


なるほど!と納得の作品が選ばれていた。それ以上に驚いたのは、審査した3人が明確な基準をもって選考していたことだった。

 

(本当は、いくつか候補曲が審査員の中で別れて、アレもいいけどコレもいい なんて言うやりとりを記事にしたかったが、そんなことをはさむ余地がなかった。これは余談w)

 


 

ということで、ELOQさんが最優秀作品に選ばれたのを記念してインタビューに答えてくれました。長年アンダーグランドな活動をしているラッパーで、この企画で初めて知った方も多いはず。彼の凄さと人柄を感じて下さい。

 


ELOQ インタビュー

 

── 簡単なプロフィールを教えてください。

 

ELOQ(イエローキュー)です。ホームタウン・神戸で妻と二人、普段は楽しく穏やかに暮らしております。酒量は若干多めですが。最近嬉しかったことは独白Remix企画で優勝できたこと、更に、3度の飯より大相撲が好きなので、長年贔屓にしていた元横綱 稀勢の里 「引退 荒磯襲名披露大相撲チケット」に当選したことです。

 

── さっそくELOQ さんに欠かせない相撲ネタありがとうございます(笑)今回のRemix企画にエントリーしようと思ったきっかけは何でしょうか?

 

企画前からDUSTY-Iさんのオリジナルは聴かせて頂いており、歌詞とビートに加え、ラップのアプローチが純粋にかっこいいと思っていました。

 

そこにPAY君のRemix企画のツイートがきたわけです。 神戸で1人共鳴しているヤツがいることをDUSTY-Iさんに伝えるチャンスだと思い、参加しました。

 

あと、もちろん10万円を獲るためです。

 

 

── 「独白 -Spit Venom Remix- 」の中で、HIPHOPシーンについても語られています。20年というキャリアをもつELOQさんには、今のHIPHOPはどのように写っていますか?

 

様々な世代の多種多様なスタイルが聴けるようになり、その分、リスナーの幅も広がった印象です。良いことであるのは確かですが、僕が曲中で伝えたかったのは、“どの世代のどのスタイルであろうが、HIPHOPへの敬意とブレない強い信念が備わったラップが聴きたい” ということです。

 

3月頃、兵庫県加古川市のパーティーでライブをさせて頂きました。主催の姫路サイファーの面々や、そこでライブをしていたクルー M.V.R からは、それが確かに聴こえました。彼らみたいな若い子たちがどんどん増え、更にやかまくしていってほしいです。

 

 

編注)M.V.R:Mad.Village.Rageの略。兵庫県三田市の4MC( A-key ,2key , kr0 , Glans )からなるクルー

 

── 他の独白Remixで、刺激を受けた曲はありましたか?

 

全員ですね。 ただ、一つ挙げるとすれば、T.O.$君のは痛快でした。

 

「ヤバイな」と思ったときに思わずニヤけてしまうことがあるじゃないですか。この現象に誰か名前をつけてください。それの連続でした。

 

──ELOQさん現在、Bandcamp(アーティストが自分で作品を直販できるサイト)で無料ダウンロードという形態で作品を発表されています。そして今回、「独白 -Spit Venom Remix- 」をストリーミング配信をされました。それは最優秀作品に選ばれた事がキッカケなのでしょうか?

 

当初はBandcampで公開しようと考えていたのですが、TuneCoreの方が多くの耳に届くと勧めれたからです。

 

また、自分の価値を試す良い機会になると考えたからです。

 

TuneCore Japan

シングル • 2019年 • 1曲 • 2分…

 

(ELOQよりお詫び)いくつかの配信サイトからアーティスト名をクリックすると同名の別アーティストのページが表示されるとのご指摘を頂きました。現在、TuneCore Japanさんにご対応を頂いている最中ですが、ご迷惑をお掛けしていること、お詫び申し上げます。

 

 

── 2017年に発表されたEP「RARE」では、大阪のデスメタルバンド WORLD END MAN のボーカル Kiyo さんをゲストに迎えるなど、シーンの遥か先を行くような楽曲を発表されています。 「18の頃から 餌食に毒を吐き続けてきた」ゆえの懐の深さ、と攻めの姿勢を感じます。

 

ELOQ

ELOQ from Kobe, Japan. Member of ILL JOINT 2089, NMNS, Rap…

 

僕は18才のときにHIPHOPと出会いましたが、それ以前はギター小僧でした。尾崎豊や Nirvana に衝撃を受けた以降、ギターの音はどんどん重たく歪んでゆき、ボーカルは何を言っているのか分からない叫びに変わっていくうちに、僕の高校の青春時代は終わりました。

 

そんな音楽に純粋に憧れ、演りたかっただけです。自分の想像している形として残すため、Kiyo君と組みました。

 

WORLD END MAN は文字通り、世界を終わらしにかかるビッグバンドとなりましたが、彼とはもっとヤバイのができると思っているので、機会をみてまた挑戦を申し込みたいです。

 

つまり、ロックミュージックが好きで、HIPHOPであろうがロックが演りたいということです。

 

── 少し前のこともお伺いします。私は、レーベル LOW HIGH WHO? から発表された「Anno Domini Beats feat.YAMANE,ELOQ / NMNS」に衝撃を受けました。その凄みは今も色あせてはいません。当時、どんな物・事に影響されてあの楽曲を作っていたのでしょうか?

 

 

日々の生活の中で僕に影響を及ぼす全ての人、物、出来事がグチャグチャに混ざり合い、抗う精神が爆発して曲ができあがります。その過程はあの頃も今も変わりません。

 

「NMNS」に関しては、それまで圧倒的な強さを誇示していた朝青龍とその背中を追い続けてきた白鵬関の力関係が逆転したこと、当時の政権交代、勤めていた会社の傾き、Jeff Chang著の「Can’t Stop Won’t Stop」、岡山のアーティスト 神闘歌 さん、大阪のDope On Plastic MCs 等、挙げればキリがない沢山の要素が僕を抗わせたのだと思います。

 

意識していますね、「喰うことを」

 

── 活動を休止されていたYAMANEさんが復帰し、KEMURI-KURAGEさんも加わり、ILL JOINT 2089として動いています。現在、どのような活動をされていますか?

 

 

ILL JOINT 2089は、YAMANEが掲げたムーブメントであり、僕ら3名以外にもYAMANEはメンバーを集めて動こうとしています。

 

YAMANEが復帰してからは不定期ではありますが、主に大阪でライブをしています。

 

また、YAMANEは大阪の HOT CONNEXION CREWJUMBO 君と音源の準備に取りかかっています。 KEMURI-KURAGEは各地のあらゆるパーティーでレコードを鳴らしています。

 

ただ、ILL JOINT 2089としては動き始めたばかりなので、今後、更に緻密に攻めの計画を練っていきたいと思います。

 

── ELOQさんとYAMANEさんとのコンビは昔から抜群の相性の良さですね。2人とも早口だけど、リリックが聴き取れるギリギリのスピードで頭をかき回してくれます。プラスYAMANEさんは独特なフローがあり、ELOQさんは英語と日本語を織り交ぜ、いいアクセントになっています。2人で曲を作るときに意識していることはありますか?

 

意識していることは特にないです。 基本的に僕が書いて、それにYAMANEが書き加えるという手順です。その逆も時折ありますが。

 

なので、YAMANEが何かを意識して書いているかもしれません。 そういえば、僕がバースを送ると、大体「ELOQのバースを喰う」と喜びながら言っていました。 あ、僕もYAMANEからスゴイのが届くと「喰ってやる」という一心で書いてレコーディングに臨んでいました。意識していますね、「喰うことを」。 それがスキルの磨き合いを生んでいるのであれば嬉しいです。

 

そういうところは、独白Remix企画にも共通しているかもしれません。

 

── 最優秀作品に選ばれた際、コメントを発表されていました。その中で、「賞金はILL JOINT 2089の制作費に」という話がありました。近々まとまった作品が聴けると期待していいですか?

 

長年の夢である12インチを作りたいと思っています。もちろん、ダウンロードコードとかそういうテクノロジーも駆使して。

 

独白Remixはスピードも勝負でしたが、あれは僕が単体で動けた故に参加することができました。 それとは違い、ILL JOINT 2089は集合体なので、全員で納得がいく音ができるまではとことん拘らせてください。ただ、HIPHOPへの敬意とブレない強い信念が備わった作品を届けるので、気長にお待ち頂ければ幸いです。

 

One. ELOQ

 

 


「独白」その後…

 

Remix企画の主催者であり、この曲のビートメーカーであるPay a.k.a Wildpit¢h 氏はビートを解放しました。つまり、この曲にラップをのせて販売してもいいと決めたのです。
すでにストリーミング配信したり、RemixのRemixをすることでオリジナル曲に仕上げた人がいたりと動きがありますので、その一部を紹介します。

 


A-QUIK

 

 


終わりに

 

6月を燃え上がらせた「独白Remix」も、最優秀作品が決まったことで企画自体は終わりを迎えました。しかし、企画が締め切られた6月以降もRemixが作られYouTubeを中心に発表されています。

 

全国のラッパー達に引火した熱は、このままさらに燃え拡がるか、それとも鎮火するのか?判るには時間の経過が必要で、今はなんとも言えません。

 

ただ、94人ものラッパーの心を動かしたのは紛れもない事実ですし、今もどこかのクラブでこの曲が鳴らされている事でしょう。たった1人の人間が吐いた言葉がビートに乗ると、こんなにも人の心を動かし、大きなムーブメントを作るのです。

 

言葉の力ってすごいな、ラッパーってすごいな。
そう思ってもらえたら幸いです。

 

共同で執筆頂いたPay a.k.a Wildpit¢hさん、Remix企画のスタッフの方々、ELOQさん、94名のラッパーの皆様、インタビューにアドバイスしてくれた よう さんへの感謝をのせて、オリジナル版「独白」で記事を締めたいと思います。最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

全てはこの40小節から始まった。

 

「あの日見えた限界が 最近はまったく見えなくなった 吹けば消えた情熱が いくら吹いたって消えなくなった」

 

|DUSTY-I / 独白|

prod.by Pay a.k.a Wildpit¢h

 

 

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