目次HIPHOP〜消えていく境界線
|EVISBEATS / Lullaby feat.WHALE TALX & annie the clumsy|
( Prod. by EVISBEATS )
ビートメーカーEVISBEATS が、「まだ知らない才能に出会って曲を制作したい」とSNSで呼びかけ開催したオーディションがきっかけで生まれた曲。
骨の髄までという言葉があるように、ビートの髄まで優しさに満ちている。
特にMICHEL☆PUNCHによるFender Rhodesのエレピの音色と、女性ボーカリストannie the clumsy のファルセットが重なると、ため息がでるほどの気持ちよさ。
休日の午前中に聴くと、素敵な1日になりそうな予感がする。
HIPHOPの危険な香りもいいが、ホッとできる曲もいい。
この曲が収録されたアルバム
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|似非animal / feel|
( Prod. by lazyboy )
上記で紹介したHIP HOPグループ WHALE TALX のフロントマンを務める似非animal 。
思う浮かべるのは、どこまでも幻想的で美しい風景。
これはフューチャーソウルに乗せたラップか?
最先端HIPHOPか?
他とは似て非なる曲調に、どうカテゴライズすればいいか頭が混乱するのがいい。WONK、yahyel などの新世代JAZZ、エレクトリックともリンクして時代性を感じる。
思考が硬くなってないか試される。
似非animalインタビュー
──WHALE TALXの中心メンバーとして活動されていますが、簡単なプロフィールを教えて下さい。
Isao Kuroda 、じんかくのふいっち 、私を含む 5MCとトラックメイカー/DJひとりでBBC(BusyBangCartel)というグループを組んでいました。(※編注:解散したわけではない)
Isao Kurodaのリリックにあった “似非animal”という言葉にひかれ、許可をとって拝借しました(笑)エセ・アニマルと読みます。
WHALE TALXは、2017年に活動が本格的に始まりました。他のMC2人はラップ歴が長く、ボクははじめて6年くらいです。
HIPHOPを意識的に聴くようになったのは、高2の時にじんかくのふいっちと出会った影響が大きいです。リリックよりも先にポエトリーで詩作をしていました。
── 曲はどのように作るのですか?
普段の製作は、リリックもトラックもない段階で「あの曲よくない?あんな感じをうちらでやると面白いかも」とトラックメイカーのlazyboyに投げかけたり、lazyboyからトラックを投げかけられたりと、はじまりは双方向です。
でもトラックを聴いてからは曲に寄せるというより、「きっとこういう曲だな」とポイントを見つけていく感覚ですね。「しっくりくる」の待ちというか。
──「feel」は、インディR&B〜インディーロック〜エレクトロニカなどを感じつつ、HIPHOPらしさがあるという絶妙なバランスで成り立っていると感じました。
lazyboyとボクが好きな音楽が、そこら辺なのかもしれないです。ヴォーカルに関しては、ボクなりに感じる「自分っぽさ」から生まれているのかもしれません。自分の声を素材として、どう活かすかという観点もありますし。
「feel」はいつもと作り方が違ってて、フックのメロディーがリリックごと浮かびました。「これフックなんだけど、トラック作れる?」ってボイスメモでlazyboyに送ったんです。できあがったの聴いたら「そうそう、こういうこと!!」ってなって。トラックからバースを書くという流れでした。
曖昧だったり、微妙/絶妙だったり、危ういものを受けとめられる懐の広さがHIPHOPにはあると思ってます。
── ご自分の音楽はHIPHOPだと意識されていますか?
「これは果たしてラップかどうか」は割とどうでもよくて、「これ好きだな」「いい曲だな」と感じるかどうかですね。歌なのか、ラップなのか、HIPHOPなのか、詩なのかは分からないですけど、「グッド・ミュージック」だと感じてもらえたら嬉しいです。
それくらい曖昧だったり、微妙/絶妙だったり、危ういものを受けとめられる懐の広さがHIPHOPにはあると思ってます。
あとは単純に気持ちいい音楽、琴線に触れるメロディーが好きです。「feel」を書いていた頃はRY X、Rhyeとかをよく聴いてたかな。
──「feel」は心象風景の美しさが目を引きますが、同時に生きる強さを感じます。どのような環境で生活されていますか?
「自然な暮らし」をとても大切にしています。焚き火で沸かした白湯を飲みつつ、満月を見上げて惚れ惚れしながら、庭で文章を書いたりしています。今朝は、日の出を見に近くの土手まで妻と行きました。
とは言え、冷蔵庫も洗濯機もありますし、普通とされていることもたくさんしてます。
住んでいるのは住宅地なので「街」だけれど、暮らしむきの中には「街らしからぬ」瞬間がちらほらあるかもしれません。そんな日々の一挙手一投足が、人間らしい、自然な暮らしだと思いますし、歌うことも、詩を書くこともまさしく自然だと思います。
──似非animalさんの目から、いまのHIPHOPシーンはどう映っていますか?
HIPHOPシーン、、、正直全然わからないですね。そもそもあまりジャンルにこだわりがないですね。その時々の旬というか、ハマっている音楽とかはあっても。
自分がラップをしていると言うと「えっ、YO!YO!とか言うの?」とか「全然悪そうじゃないのに」と言われます。誤解の多い音楽ジャンルですね。既に市民権を得ているアメリカのシーンとは全然状況が違うだろうなとは思います。
──HIPHOPに限らず共感できるアーティストはいますか?
最近だとH.E.Rの「Lost Souls」はグッときましたね。ちょっと前だとJorja Smithの「Beautiful Little Fools」。曲じゃないけれど、Bjorkが上海だかのライブで「Tibet!」って連呼した件とか、行動や態度に共感することもありますね。
Macklemore & Ryan Lewisもそうかな。「White Privilege II (feat. Jamila Woods)」「Same Love (feat. Mary Lambert)」とか感動しました。
日本のHIPHOPシーンだとRHYMESTER好きですね。降神もかな。特に志人は相当聴きましたね。あと去年コラボレーションさせていただいたEVISBEATSもそうですね。去年は『ムスヒ』も『HOLIDAY』も結構聴きましたね。
あと、annie the clumsyは一緒に制作したり近くで見ていて感動しますね。それが何であれ、何かしらの圧倒的なリアリティーを感じるひとや作品に、グッときます。
──今後の活動予定を教えて下さい。
ライブは近いところだと4月20〜21日に開催される「結いのおと」に、WHALE TALX & annie the clumsyとして出ます。制作では、WHALE TALXとしても、ソロでも同時にいくつかのプロジェクトを進行してます。去年よりもさらにカオスな活動を展開できると思うので、是非楽しみにしていてください!
──楽しみにしています。どうもありがとうございました。
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