【日本語ラップ 2019年】10月のおすすめMV10選(クロスインタビュー,各レビューつき)

どうも、HIPHOPライターのドラム師匠です。

 

10月はTwitterにてMVレビュー ➡︎ 33本
Liveレビュー ➡︎ 3本
ブログ記事 ➡︎ 2本
書きました。そんな私が気になった

 

|10月のHIPHOPトピック|

 

① NHKに出演したPUNPEEがツイッターのトレンド入り

10月5日、NHK総合にて放送された星野源の番組「おげんさんといっしょ」にPUNPEEが出演。自身のヒット曲「夜を使いはたして」を含む2曲でラップを披露。それ以外にも星野源のEPにフィーチャーされるなど話題になりました。

 

 

② アメトークにて「ラップ大好き芸人」が放送される。

10月17日、アメトークにて「ラップ大好き芸人」が放送。MCバトルを軸と内容でしたが、日本のHIPHOPの歩みを描いており、芸人たちのHIPHOP愛が伝わる内容でした。特に「ニート東京」にも出演していたカミナリ石田たくみのVerse完コピに、ヘッズたちは反応していましたね。

 

 

③ とにかくMVのリリースラッシュ

私が以前働いていたタワーレコードでは、この時期になると年末商戦に向けて大手レコード会社からCDが続々とリリースされて忙しかったです。

それとは関係ないと思いますが、10月は国産HIPHOPのリリースが凄かったです!毎月60曲をセレクトしたプレイリストを作っているのですが、もう60曲に絞り込むのは無理!と100曲入ったプレイリストを作りました。

もはやプレイリストとして機能しているかは疑問ですが、とにかく勢いがあることを伝えたかったのでこんな形になりました。プレイリストは後ほど紹介します。

 

 

そんなこんなで色々あった’19年10月、YouTubeで公開されたオススメの10曲を紹介します。今回は、埼玉県熊谷のクルー Nature’s Gangstar のMC3人にクロスインタビューを敢行しました。同じ曲について同じ質問で、こうも回答が違うのかと楽しめる内容です。有名・無名問わずセレクトしたので最後までお楽しみ下さい‼️

 

※ 歌詞=リリック、サビ=HOOK、ラップをしているパート=Verse とHIPHOP用語で表記しています。
※ 本文で赤字のついたアーティスト名は、Twitterとリンクしています。


 

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|JP THE WAVY / CHOTANOSHI feat. Nasty C|

(Music by Poloboy 81, Windxws)

 

先月に続き発表された JP THE WAVY の新曲は、南アフリカの人気ラッパーNasty C(フォロワー139万人!)を客演に迎え、やたらいい仕上がり。

 

CARTOON調のトイピアノに合わせ、スタコラサッサと駆けるリズムでのるラップ。「〜いい」という語尾で統一していても、スキルがある人が行うと単調にならず、小気味よさに繋がっている。ハロウィーンを意識した、やりたい放題のコスプレも調子いい。

 

 

 


|TORA-G × 呼煙魔 / From The Bottom|

( Prod. by 呼煙魔 )

新しい事が始まる興奮に包まれる曲。東京の若手クルーSound’s Deliに所属するTORA G 。

 

「価値観曲げた匙 味を足すbrain」

 

リリックの随所に書かれた葛藤。そこから変わることを選んだ吹っ切れ感が、切れのいいラップとマッチして痛快。ビートメーカー 呼煙魔による力強いビート+中華風ストリングスがTORA-Gを上へ上へと押し上げる。

 

⬇︎この曲が収録されたEP『Changes』の配信リンク

Go to Changes.…

 


|CHILL FIRE / Nature’s Gangstar|

(Beats by t.r.m.s.c )

 

L.Aビートを彷彿するエレクトリックな上音に太いドラムが、澄んだ空気での熱さを感じさせる。

 

埼玉県北部HOT TOWN 熊谷を拠点に活動する3MC(SEN-DDSKB.O.F)、ビートメーカーt.r.m.s.c 、DJ ANSWER からなるクルー Nature’s GangStar。

 

タイトルが「CHILL FIRE」と、高温で燃えるFIREでありながらCHILLという難しい表現をMC3人がそれぞれに解釈。ラップの温度差に注目して欲しい。途中で挿入されるアナログシンセに心を奪われ、次第に力が入る楽曲となっている。

 

 

※この曲について、MC3人にクロスインタビューを敢行した。同じ曲でありながら、当然それぞれの解釈があって、それがラップスタイルに見事に表れている。曲を聴いた後、インタビューを読み、再びリピートしてもらえると、より曲の良さが伝わるはずである。( Verse1:B.O.F / Verse2:DSK /  Verse3:SEN-D )

 

 

Nature’s Gangstar クロスインタビュー

 

── MC3人の声の温度差が違っていて面白く、バランスが取れてたクルーだと思います。クルーでの役割をどう意識されていますか?

 

BOF:俺は深く意識してる訳ではありません。 自然発生的に偶然結成されましたが、うまいこと声質やフローはそれぞれ違うものを持っています。

 

DSK:僕は単純バカなんで、とりあえず”熱量”的な部分だけは出そうといつも思ってます。 そうすることによって仲間の個性が強まると言うか、そんな感じですかね。

それぞれのテンションの違いも一見聴くとバラバラに見えるけど、互いに補いあっている。僕自身は何かアクセント的なモノになれれば良いなと。ワサビみたいな感じですかね?内容もそうだけど聴いていても飽きないというか、刺激的な作品にしたくて、こういうノリになっていったんだと思います。

 

SEN-D:3人好きなようにって感じです。 元々ソロ活動していたので、特に意識してることはありません。 そのままの自分達でいいので。

 

──「CHILL FIRE」というタイトル関して、本来燃える炎のイメージからすると、“情熱”とか“闘魂”などのキーワードが出てくると思います。だた頭に“CHILL”と付いており、キャンプでもしながらじっと炎を見ている、または、内なる闘志を燃やしているような感じがします。皆さんはこの曲を、どんなイメージで制作されたのでしょうか?

 

BOF:炎って普通は情熱やアツさをイメージしますが、俺らにとっては完全にChillな炎なんです。着火することで冷静になり、感覚を研ぎ澄ますことができる。それが俺らのFireに対する捉え方で、この作品が出来ました。

 

DSK:そうなんですよ。ずっと炎を見ていられるようなイメージは僕の中にもありました。「CHILL」って言葉には、単純に和訳される以上の意味があると思います。「楽しい」だけでも良いんだけど、その中には「己と向き合う」というか、僕が勝手に持ってるメンタリティ的な側面がリリックに反映されてると思います。

色々あって、僕はリリックをみんなと違うタイミングで書いて録音したんですけど、 みんなが何を思ってるか聴いて、そこから感じたモノを書いていった感じです。

 

SEN-D:それぞれ内なる情熱が、リリックの中にあると思います。 好きな事に情熱を。。みたいな。 BEATを最初にもらって、すぐにタイトルが決まりました。 ある程度のイメージを共有して、とにかくCHILLなFire。。。 後は、各々でって感じです。 いい感じに3人のリリックと、BEATがフィットしてくれたかなと。

 

 ── 途中で挿入されるアナログシンセが、この曲の肝だと思います。皆さんは、あの音をどう捉えてラップしたのでしょうか?

 

BOF:この曲はKool & the gangの「summer madness」が元ネタでほとんどまんま使っています。が、アナログシンセ等はtaraさんが弾き直しています。自分もそこは肝だと思っていて、後半にかけてジリジリと焚き火の熱が周りに移っていくような広がりをイメージさせます。 特にDSKのバースの後半にかけてジリジリ駆け上がって行く感じはかなり良いですよね。

 

DSK:あの感じ、おそらくHIPHOPを好きな人は勿論聞いた事あるだろうし、そうじゃ無い人も「あれ?これ聞いたことあるなぁ。。。」ってテンション上がると思うんです。 そこから勝手に僕は盛り上がってラップしていきましたけどw

ただ聞いた音だけじゃなく、リリックの内容も含めて楽曲だと思うので、それぞれの内に秘めた部分というか、最深部の熱さがそれぞれのバースでの盛り上がりを作っていると思います!

 

SEN-D:t.r.m.s.c のビートなんですが、聞いた瞬間書きたい!って思いました。 アナログシンセが印象的でHOOKは作らず、聴かせるところは聴かせて。後はビートに負けないリリックを書こうと思いました。

 

── ありがとうございました。

 

 

⬇︎この曲が収録されたEP『MIROKU』

 


|CL AnT2 / rain drop|

(Beats by ΔTM0S)

 

まさか1人で歌っているとは…

 

EP『Girl Friends』では4曲全体で男女のストーリーを作り上げた CL AnT2(シエルアンツ)が、この曲では声質を使い分けることで雨の物語を起承転結をつけて描く。

「Ran drop Rain drop
でも流せない過去 てか今もかも」

 

押し殺した低音Vo.でも歌が沈み込まず流れるように感じさせる歌唱力。バックでうっすらと聴こえる雨の音が心地いい。

 

 

⬇︎EP『Girl Friends』の配信リンク

 


|FKD / endless feat. 田中光|

( Prod. by FKD )

 

クリエイティブ集団・VIBEPAK の主宰者 FKD によるEDITされたピアノループ。

「カクカク   に切り取られた空」のように変則的な文節の切れ目を入れる事で、トラックと歩調を合わせる 田中光 のラップ。二つが合わさることで独特なグルーヴが生まれている。

息継ぎすらも四苦八苦している表現の一つになっていてスゴい!

 

 

⬇︎この曲が収録されたスプリット7インチレコード

 


|T-STONE / Already Know|

 

徳島を背負う T-STONE の1st EPからの一曲。いい意味で都会っぽさがなく、感じる地方らしさ。それが誇りと堂々と声を張り上げるのが彼の魅力。目標地点に先回りし、未来の自分から今の自分に語りかける。

 

「Already Know 不安になる必要はない
Already Know お前はもう知ってる
Already Know ゲームの結末を
Already Know 神様がそう言うんだ」

 

JAZZ〜60’R&B調のホーンアレンジに乗ると感じられる気品の高さ。こんな強烈な個性を放てるラッパーは他にいない。

⬇︎この曲が収録されたEP『APOSTROPHE』の配信リンク

TuneCore Japan

Album • 2019 • 7 Songs • 19 mins…

 


|雲雀 / Dusk feat. PHENO|

( Prod. by Pri2m )

こんなに楽しくなる曲を久々に聴いたな。

 

関西国際空港からの玄関口、大阪 泉佐野のラッパー 雲雀(ひばり)ビートメーカー Pri2mとのダブルネイムEPからの一曲。

 

小柄な身体を生かした弾力あるラップ。全身で伝えるポジティブさは、聴き手の心を弾ませる。「向かい風も 向き変えれば追い風」雲雀が相方と呼ぶ PHENOとの声のバランスもいい。

 

雲雀からのコメント

「Dusk」意味は夕暮れ時。

エモくなったり、悩んでる時、
夕焼けに見惚れていたら何事も
なんとかなる気がしてきて。

 

この感情をかきたくて相方PHENOに連絡し
「Dusk」ができました。

 

もともと僕自身ポジティブじゃなくてネガティブなんです。
僕が落ち込んでいても、相方が基本
「んー、なんとかなるくない?」
みたいな思考なやつで(笑)

 

そんな相方に何回も背中を押されたりしていて。
「なんとかなる曲を作るなら相方だな」
と思って声をかけたんです。

 

僕自身ネガティブなので、
「ネガティブな人もポジティブに
考えることができるようになればな。」
と思います!

 

⬇︎この曲が収録されたEP『Live Straight』の配信リンク

TuneCore Japan

Album • 2019 • 7 Songs • 21 mins…

 


|Fuma no KTR / American Baby|

拠点を大阪→北海道に移し、名義も藤KooSから改めた Fuma no KTR(フウマノコタロウ)。一時はラップを辞めようと思ったのが信じられないほど、ブッとんだTrap。

 

子供が生まれた事で、「おしゃぶり」「泣き止まない」など育児しないと出てこないリリック。でも守りに入るどころか「お前らはbaby」と挑発してて、babyから受けるイメージとのギャップに怖さを感じる程イカしてる。

 

 

⬇︎この曲の配信リンク

TuneCore Japan

Single • 2019 • 1 Song • 2 mins…

 


|カムナビMC & JUNKY / ナイナイshit|

「何もない」が止らない。

 

この曲を歌うのは、心斎橋アメリカ村を拠点とするBNKR街道の中心人物 カムナビMCJUNKY 。

 

「無いものばっかで怖いものはねぇ」

 

何にもないと言うが、忘れちゃいけないのはラップのスキルがある事。彼らはYouTuberが誕生するずっと前から”好きなことして生きていく” を実践していた先駆者。それを全身で表現していてうらやましい。あと三輪車に乗りながら持ち主に真摯にお願いするJUNKYさん、最高すぎるでしょ。

 

 

⬇︎BNKR街道のインタビュー記事

JPN 🇯🇵 HIPHOP ch.

大阪では毎週のようにLiveを行い、シーンに欠かせない存在であるBNKR街道にインタビュー。嘘のないズルむけ感。音楽への…

 

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韻踏合組合・HIDADDYのお店、一二三屋。大阪市中央区西心斎橋1-8-16中西ビル4階…

 


|Brain Downer Z & OGRE WAVE / The Brain Downer Z |

( Prod. by OGRE WAVE )

 

ビートメーカー OGRE WAVE(オウガウェイブ)によるデジタルサウンドを導入しつつ闇を裂くトラック。社会の裏側をのぞくような「Yeah Yeah」の掛け声が印象的な曲。

 

大阪南部で脈々と受け継がれるアンダーグランドPURPLE SMOKEより2MCユニットBrainDownerZ(EASY58AKY)。

 

湾岸線沿いのサビとヤニとナニが混ざる独特の香りが感じて欲しい。

 


|さらに聴きたい人へ|

 

冒頭でも述べましたが、上記の10曲以外に紹介しきれなかった【10月のオススメMV】が100曲入ったプレイリストを作りました。トータル約300分あるので、じっくりHIPHOPを聴きたい人にオススメです。連続再生したり、シャッフルしたりしていい曲たちと出会って下さい。

 

当然HIPHOPのリリースは進行形で続いていて、’19年11月のプレイリストにも曲が溜まっています。Twitter(https://twitter.com/drumshisho)では毎日レビューを書いています。最新の国産HIPHOPに触れたい方はチャンネル登録 &フォローをお願いします🙇‍♂️

 

ではまた✋🏽

 

 

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